世界の言語のいくつかについて、これらの特徴を みてみると次のようになる。
○は日本語と同じ特徴:●は日本語とは異なる特徴 ○ 朝鮮語は日本語と同じように、中国語からの借用語 が多くみられる。 太初tae-cho、萬物man-mul、祈祷ki-do、臨im、日用il-yong、糧食yang-sik、者ja、赦sa、罪jui、試験si-heom、悪ak、救ku、 〇 朝鮮語は語順は基本的には日本語と同じで、主語+目的語+動詞の順である。文章の最後に動詞がくる。
● 借用語は朝鮮語の音韻体系によって転移するの で、中国語原音の発音とも、日本漢字音の発音とも異なっている。 ①中国語韻尾の-tは規則的に-lになる。万物(man-mul)、日用(il-yong)、 ②朝鮮語では中国語韻尾の-nと-mは区別されているのに対し、日本語では-nも-mも「ン」となって弁別されない。例:万物(man-mul)、臨(im)、試験(si-heom)、 ③朝鮮語では中国語韻尾の-ngが保たれているのに対し日本語では音便形になる。 日用(il-yong)・「ニチ-ヨウ」、糧食(yang-sik)・「リョウ-ショク」 ④朝鮮語ではラ行音が語頭にくることがないので、 中国語原音のラ行音は語頭では脱落する。糧食(yang-sik)。古代日本語でもラ行ではじまることばはなかっ た。ラ行ではじまることばがないのはアルタイ系言語の特色のひとつとされている。 ⑤朝鮮語では語頭に濁音がくることがない。語中で は濁音となる。例:a-bo-ji(父)、古代日本語でも語頭では清音のものが語中 では濁音になる。 ハングルでは父a-po-jiと書いて語中ではpはbと発音される。朝鮮語では語頭に濁音がたつことは ない。語頭では清音で発音される音が語中では規則的に濁音になる。清音と濁音が語頭と語中で相補分布する。古代日本語でも濁音が語頭にくることはなかっ た。 ○ 朝鮮語には母音調和があって、陽母音(a,o)は陽母音と結びつき、陰母音(i,u,eo,eu)は陰母音の接尾辞や助辞と結びつくと性質がある。 これはアルタイ系言語の特色のひとつであり、古代日本語にも母音調和があったといわれている。 ● 朝鮮語の音節は子音で終わるものもある。 例:kot(卽)、kye-syeot(あった)、 toe-eott(成った)、 geot(もの)など、 中国語からの借用語の場合も中国語の韻尾はそ のまま生かされている。 例:万物(man-mul)、日用(il-yong)、糧食(yang-sik)、悪(ak)、
○ 語順は主語+目的語+動詞が基本である。 ○
●
● ○ 助詞(後置詞)で語と語の関係を示す。 ○ ● ● ○ 母音調和がある。 ○ ● ● ○ rで始まる音節はない。 ○ ● ● ○ rとlの区別がない。 ○ ● ● ○ –p,-t,-kで終わる音節がない。 ● ● ● ○ 疑問の標示は文末にくる。 ○ ●
● ○ 名詞には冠詞は使わない。 ○ ○
● ○ 代名詞に性・数・格の区別がない。 ○ ○ ● ○ 1人称代名詞に包括形と除外形の区別がない○
○
○
☆朝鮮語では否定形は動詞の前にくる。ビルマ語で は動詞の前と後に否定の表示がつく。 [形
態]
○日本語と同じ ●日本語と異なる
☆日本語、朝鮮語、蒙古語などは安定した語幹が あって、後置詞(助詞)を多用することによって格を示す膠着型である。 ☆名詞に単数・複数の区別がない言語は助数詞(一 匹、一本、一冊などclassifier)を使う言語が多い。 ☆1人称代名詞の複数には「話しかける相手を含めた我 々」と「話しかける相手を除外した手前ども」を区別する言語がある。 ☆アイヌ語の動詞は人称・格などによって変化す る。 [音
韻]
○日本語と同じ ●日本語と異なる
[日 本語との類似の総合評価] 分子は日本語と同じ特徴をもつ項目の数を示 す
日本語の主な特徴22項目について比較してみると、日本語と同じ特徴を もつ項目が多い順に次のようになる。 日
本語<朝鮮語<中国語<英語 [日 本語との類似の総合評価] 分子は日本語と同じ特徴をもつ項目の数を示 す
日本語の主な特徴22項目について比較してみると、日本語と同じ特徴を もつ項目が多い順に次のようになる。 日
本語<朝鮮語<蒙古語・ビルマ語<アイヌ語<タミル語<中国語<チャモロ語<英語 |
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第 2 6 2 話 日本国憲法を解剖する 第 2 6 4 話 日本語の起源 |